私たちが普段、何気なく使っている言葉の中には、似ているものが数多くある。それらには、明確に使い分けられているものと、境界は曖昧だが無意識に使い分けているものがある。今回は、境界が曖昧なものから「取り戻す」と「取り返す」の違いについて考えてみる。自分を振り返ってみると、「取り返す」は「取り戻す」よりも「強い」イメージがある。再び自分の物にするという結果は同じでも、「取り戻す」はより穏便な、「取り返す」はより強制的なイメージである。しかし逆に言えば、結果は同じであり、表現したい事が同じならば、どちらでも良い事になる。そうなると、2つの使い分けには他にも要因があると考えられる。
そこで、まず資料として「〜を取り戻す」「〜を取り返す」の形で用例を収集した。それらを「取り戻す」の形で使うもの、「取り返す」の形で使うもの、両方の形で使えるもの、と三つに分類した。結果、「取り戻す」の形では、平和・記憶・優しさ・関心・明るさ・平常心・健康・名誉・美しさ・信用となった。
私たちが普段、何気なく使っている言葉の中には、似ているものが数多くある。それらには、明確に使い分けられているものと、境界は曖昧だが無意識に使い分けているものがある。今回は、境界が曖昧なものから「取り戻す」と「取り返す」の違いについて考えてみる。自分を振り返ってみると、「取り返す」は「取り戻す」よりも「強い」イメージがある。再び自分の物にするという結果は同じでも、「取り戻す」はより穏便な、「取り返す」はより強制的なイメージである。しかし逆に言えば、結果は同じであり、表現したい事が同じならば、どちらでも良い事になる。そうなると、2つの使い分けには他にも要因があると考えられる。
そこで、まず資料...