「理想的な小学校とはなにか」
2006年5月、東京都新宿区立小学校に勤務する新任の女性教諭(23)が過度のストレスから自殺をした。私は、この事件を基に理想の公立小学校には何が要するかを挙げてみたい。
この事件の1つ目の問題は、学校の環境である。この女性教師は、新任早々低学年のクラス担任を任され、しかも、都心にあるこの学校は一学年1クラスであった。月の時間外労働は100時間を超え、授業の準備以外にも様々な雑務があり、新任の研修もこなさなければならなかった。新任という右も左もわからない状態で、クラス担任を任される。しかし、同じ学年に指導や相談のできる教師はおらず、クラス運営も含め、一人でこなさなければならない。ここから見てとれることは、勤務する学校の環境である。まず、新任教師がすぐにクラスを受け持つことは、酷ではないだろうか。一般企業でも、入社して数ヵ月は、まずその環境や仕事に慣れることで毎日が精一杯である。本来ならば、スタートラインに立つまでの一定の能力とそれを習得する時間が必要であるのに、この女性教師は、何もわからないままスタート地点に立たされ、走り始めなければならないような状態で...