テーマ;G.アリギによる「長い二十世紀」の概念が、どのような手法で何を明らかにしているか、論点を絞って説明し、これに対する批判を行ってください。
まず、アリギの「長い二十世紀」の概念とはいったいどのようなものであろうか。
本書(『長い二十世紀』)では、近代世界システムの変遷を、ヘゲモニー国家の交替という観点からみており、帝国主義批判の展開を、具体的な事例に即し歴史軸の中に置きなおして分析を行っている。その際に資本の蓄積システムのサイクルから、初期は生産拡大があり末期になると金融の拡大が起きるとしている。つまり、初期は交易・生産への投資によって蓄積しようとするので生産拡大がおき、そして末期は金融だけで蓄積しようとするので金融の拡大が起きる。この資本の蓄積システムという観点が重要であり、コンドラチェフやブローデルの長期波動では物価の観点によるもので、それらは近代資本主義以前にも当てはまるため、資本の蓄積(自己増殖)システムに特有の現象を説明できないと筆者は指摘している。
特に本書では、蓄積システム・サイクル論的手法から分析が行われており、これらは歴史的資本主義の形成と拡大再生産を国家形成の...