『象を撃つ』を読んで
私はこの本を読んで、支配者と被支配者との関係性において、今まで自分が考えていたものとは著しく違うものもあるのだということに驚いた。両者の権力の関係性は、当然どんな状況下においても「支配者>被支配者」であり、被治者は彼らの権利の主張も認められることはなく、圧制を強いられるだけの弱い存在であると思っていたのである。しかし本書では、主人公のようなイギリス人は、ビルマにおいては逆に居心地の悪い生活を送っていたのであり、差別を受けていたといえる。
『支配するためには「原住民」に感心されなければならず、そのためには「原住民」を威圧することに生涯を捧げること、どんな場合でも「原住民...