人はあることを語るにあたってその言葉の定義を知らなかったり、曖昧な意味しか知らなくとも使用してしまうことがある。例えば国民とは何か。国家とは、民族とは、それらは普段我々がよく使う言葉だが、それらの定義をしっかりと把握して使用しているものは決して多くない。国家というものは“国家は単一の民族からなり、民族と国民とは同義である”(世界民族問題事典424P、国民国家)として近代においては考えられていた。しかし、現在単一の国民からなる国家はまれであり、民族という概念とは完全には整合しえない。そして国家というものは単一民族国家から1648年のウエストファリア条約から始まったとされる国民国家へと変化していった。さらに過去に遡れば、国家とは都市国家(ポリス)のことでありそこは政治の行われていた場所であった。また民族も同様に常に変化してきている。(世界民族問題事典、1117P、民族とは何か)民族の定義にあたって客観的基準と主観的基準が用いられているが、そのような基準だけでは民族を定義するにはいたらない。なぜなら民族というものはその内部において民族間の境界は曖昧なものであり、異質なものの共存や同化、あるい...