私たちが病気や怪我に対する不安を払拭し、健康を保ち、安心して生活を送ることができるのは、医療保険制度が確立されているからである。しかし、この制度はいままさに大きな転換期を迎えているのではないだろうか。
そこで、医療保険制度の現状についてまとめてみたい。まず、日本国憲法第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権を規定し、保障している。誰でも人間として生まれた以上、何不自由無い豊かな生活を送りたいと望んでいるが、健康を害したり、仕事を失ったり、高齢のために仕事を辞めなければならなくなったりとさまざまな危機的状況がおこる。
そのような不安を取り除き、国民の生存権を保障するのが社会保険制度である。この制度については、同じく憲法25条によって規定されている。
一般的に医療保障は二通り有り、公費負担で国民に必要な保健・医療サービスをする保健医療サービス方式と、保険料を徴収して加入者に必要な医療を費用負担する医療保険方式がある。
我が国の医療保障制度は、後者の方式を採用しており、「いつでも、どこでも、誰でも安心して医療を受けられる」という全国民がいずれ...