問題
私たちは日常生活の様々な場面において、状況に応じたふさわしい運動をすることが出来る。例えばキャッチボールをする時には、ボールを投げたり取ったりする運動を繰り返す。自動車を運転する時には、道路状況を目で見て操舵や変速のために、手足を順序よく正確に動かす必要がある。このような動作は、慣れているとほとんど何も考えず、苦労せず行うことが出来る。しかし、単純な運動であっても複雑な運動であっても、全て日常的な練習によって獲得されたものである。これらの事実は、視覚と運動の対応関係を崩した場合に実感できる。
ある日、目が覚めたとき、目に見える景色の全てが上下逆さまになっていたとしたら、うまく生活できるかどうか考えてみよう。このような状況に対する適応過程は、プリズムを利用したメガネの装着により研究されている。観察者は最初、何をするにも非常に困難を感じ、動作が鈍くなるが、しばらくすると慣れてきて、1週間も経った頃には自転車に乗ることさえ出来るようになる。
今回は視覚と運動の協応関係を「鏡映描写」の実験により体験し、考察する。
「学習」とは経験によりその後の行為が変化することである。人間は新しい環境や問題に遭遇したとき、その環境への適応や問題の解決に時間がかかり、間違えを犯すことがある。しかし、同じ動作を繰り返し練習し、解決方法を発見することにより、短時間で正確に対処出来るようになる。
この実験では学習の「転移」についても考察する。転移とは、前に学習したことがその後の学習に影響を及ぼすことをいう。そして前学習が後の学習を促進する時には正の転移、妨害するような場合には負の転移とよんでいる。例えば、ペン字を習うと筆の使い方が上手になるような場合が正の転移であり、バドミントンで覚えたスナップの使い方がテニスでうまくいかない場合が負の転移である。
条件の違いが課題の遂行時間と逸脱数に及ぼす影響
問題
私たちは日常生活の様々な場面において、状況に応じたふさわしい運動をすることが出来る。例えばキャッチボールをする時には、ボールを投げたり取ったりする運動を繰り返す。自動車を運転する時には、道路状況を目で見て操舵や変速のために、手足を順序よく正確に動かす必要がある。このような動作は、慣れているとほとんど何も考えず、苦労せず行うことが出来る。しかし、単純な運動であっても複雑な運動であっても、全て日常的な練習によって獲得されたものである。これらの事実は、視覚と運動の対応関係を崩した場合に実感できる。
ある日、目が覚めたとき、目に見える景色の全てが上下逆さまになっていたとしたら、うまく生活できるかどうか考えてみよう。このような状況に対する適応過程は、プリズムを利用したメガネの装着により研究されている。観察者は最初、何をするにも非常に困難を感じ、動作が鈍くなるが、しばらくすると慣れてきて、1週間も経った頃には自転車に乗ることさえ出来るようになる。
今回は視覚と運動の協応関係を「鏡映描写」の実験により体験し、考察する。
「学習」とは経験に...