罷申を含む国司の赴任過程について

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    資料紹介

    罷申は、任国赴任に際しての挨拶で、赴任儀ともいう。この罷申には2つの種類ある。1つは、摂政・関白や大臣のもとへ貢物(志)をもって赴任の挨拶をしに訪問すること。もう1つは、蔵人を通して天皇に赴任の挨拶をすることである。
     国司の任官は、毎年全国の国司を一斉に任命するわけではなく、欠員のいる国のみを任命するため、その数はあまり多く無い。この少ないポストを得るために、希望者はなんとか任命してもらおうと摂関や大臣に自分を売り込みにいったりするのである。そのため、見事国司に任命してもらえた受領はお礼も兼ねて、摂関や大臣のもとへ自身または使者を立てて挨拶へ向かうのである。

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    罷申を含む国司の赴任過程について
     授業の発表時に、私は補足説明として「罷申」について発表した。ただこの時は、レジュメに書いたのはたったの数行、しかも内容は辞書に書いてあるような簡単なもので、あとは儀式書をただ読んだだけだった。よって今回のレポートでは、この罷申についてもう少し調べてみようと思った。だが調べていくと、国司の赴任・交替に関する一連の動きの中で、罷申はあまり重要視されていないようで、このことについての先行研究も見つけられなかった。そこで今回は、国司の除目から任国へ下るまでの過程を追って、そのなかで罷申についても述べてみたいと思う。
    1.国司と受領
     国司の赴任過程を追うまえに、国司と受領の違いについてまとめておきたい。私が授業時に引用した『西宮記』や『侍中群要』には、罷申についての条文が国司ではなく、「受領赴任事」や「受領罷申事」と受領という言葉を使っていた。
     まず、国司は、国守を示す場合と、任国に赴く守・介・掾・目の四等官を示す場合の2通りあった。
     受領というのは、もともとは新任国司が前の国司から国衙の政務を交替して、受け継ぐ行為のことを言った。それが遙任の国司が出て...

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