予期せぬ災害や事件・事故に遭遇した場合に、私たちは強い心理的な衝撃を受け日常の心のバランスを失うことがある。物理的な事故に遭って、強く腕や腰を打つと打撲したり骨折したりするのと同様に、精神も打撃を受けたり、機能しなくなったりする。喪失、外傷体験はそのなかの1つである。
何十年もの年月を過ごしてきた住まい、生活環境、そして大事な家族、あるいはペットなど、本人にとって愛着のある存在や物を失うことを精神医学では「喪失体験」という。普通、喪失体験は自然な反応であり、時間とともに回復する。しかし、悲しみを処理しないままかかえこんでいると、不安、パニックや抑うつなどの心理的問題、さらには、心疾患、感染抵抗力の低下、アレルギーといったものに結び付いていく。
心的外傷(トラウマ)と呼ばれる心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後に様々なストレス障害を引き起こす疾患を心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ぶ。洪水、火事、または戦争、監禁、虐待など、普通の生活を送っている人が通常では起こり得ない出来事で生じる。
喪失、外傷体験とその対処過程について
臨床社会心理学研究に取り組む意義
予期せぬ災害や事件・事故に遭遇した場合に、私たちは強い心理的な衝撃を受け日常の心のバランスを失うことがある。物理的な事故に遭って、強く腕や腰を打つと打撲したり骨折したりするのと同様に、精神も打撃を受けたり、機能しなくなったりする。喪失、外傷体験はそのなかの1つである。
何十年もの年月を過ごしてきた住まい、生活環境、そして大事な家族、あるいはペットなど、本人にとって愛着のある存在や物を失うことを精神医学では「喪失体験」という。普通、喪失体験は自然な反応であり、時間とともに回復する。しかし、悲しみを処理しないままかかえこんでい...