「福祉国家の思想と原理について述べよ。」
「福祉国家」とは政策として様々な社会保障を整備し、全国民の文化的生活を保障するものである。国民全体の福祉の向上のために国家が法律を作り、高所得者からより多くの税金を徴収し、低所得者に分配する税の再分配を行うことで、社会的弱者の生存権を守る福祉政策に積極的な国家のことである。これは労働力、生産力のない人々つまり子供や高齢者、障害者などの社会的弱者の生活を保護し、資本主義社会の欠陥を是正するため政府が積極的に市場に介入し、国民全体の福祉向上を図るものである。
「福祉国家」という言葉は、第二次大戦中のイギリスにおいて、戦後のビジョンを示すことで国民を統合する為にドイツなどの「権力国家」との対比として用いられた。その理念の基礎となったものが「ベヴァリッジ報告」である。「ベヴァリッジ報告」とは1942年11月に出された「社会保険と関連サービス」のことであり、社会保障に具体的な内容を盛り込んだ点において画期的な意味を持ち、戦後の各国の社会保障制度に大きな影響を与えた。それまでにもイギリスにおける「救貧法」やドイツにおけるビスマルクの「疾病保険」「労災保...