(1)現在の道徳教育は二重構造をなしている。1つは学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育と、もう1つは「道徳の時間」における道徳教育である。
学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育は、道徳を含む各教科、特別活動、総合的な学習の時間など、各領域を通じて、その過程から道徳的価値の自覚を深めていくことである。
各教科指導においては、各教科特有の目標や内容があり、各教科の文化価値の伝授による文化的能力や科学的認識能力が基礎となり、真の道徳的価値が生まれるのである。学力の向上は学習の取り組み姿勢や意欲、真面目さが生活姿勢や生きる態度に結びつくように、各教科の目的内容が、道徳教育と共通する部分を生かすことで学習が自らの生き方に直接的に結びつき実感できる。例えば、音楽鑑賞で得られる道徳性は美しさへの感性を豊かにし、伝統的・世界的な音楽に親しみ、芸術的価値に気付くように展開していく。したがって各教科における指導は道徳教育と密接に関係しているといえる。
特別活動において、道徳的実践の場としては、児童会活動やクラブ活動、学校行事が中心となり、児童会においては生徒の自主的・自発的な活動から、クラブ活動や...