1.X労働組合は、会社の許可を受けることなく、就業規則に反し、終業時刻後に組合員総決起集会を開いた。この行為が懲戒の対象となるのかが問題となる。
2.我が国の労働組合は、企業別の組合形態をとる。従って、労働者は、労働活動上も組合活動の上でも、その拠点は職場に存在することになる。そこで、労働者の組合活動と企業側の施設管理権との抵触が不可避となる。
3.この問題を解決する為に、企業は、労働者との間に就業規則を作成する。就業規則とは、労働者が勤務する上で守らなくてはならない服務規則などを定めた企業内の諸規則である。(労働基準法89条)
判例は、「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きがとられていることを要する。」フジ興産事件(最判平15・1010労判861-5)と判示した。
懲戒処分が有効となる為には、規定の存在と周知されていることが必要とされる。一般的には、無断の企業施設の利用は懲戒事由に該当するものとされるが、しかし、労働者による組合活動として施設が利用された場合も懲戒事由となるのかが問題...