『秦の天下統一が果たした歴史的意義について述べなさい。』
本論では、春秋時代から戦国時代を経て、秦により統一が果たされるまでの歴史的な流れを追い、その過程で政治的・社会的にどのような変動がおこったかについて述べていく。
まず、紀元前8世紀の周の遷都にはじまる春秋時代から戦国時代を経て秦による統一が果たされるまでの動きをまとめる。周が洛邑に遷都した紀元前8世紀から、晋の韓・魏・趙への分裂がおこる紀元前5世紀末までを春秋時代、それ以降から秦による統一までを戦国時代とよぶ。周の時代、周王は一族や各地の土着の首長に封土(領地)をあたえて諸侯とし、代々その地を領有させていた。王や諸侯に従う家臣も、それぞれ地位と封土をあたえられ、周王の権威を頂点とする封建制度が成立していた。この時代、周の衰えを背景にして多数の封建諸侯が少数の国家へ統合されていった。諸侯は互いに抗争を繰り返し、斉や晋、楚などの有力な国家、いわゆる春秋の五覇が誕生した。周の衰えがさらに進み、戦国時代になると、もはや周は単なる一諸侯として認識されるようになり、春秋時代のいはじめには百以上あった諸侯は、春秋末には十数になっており、戦国...