かつて、父親の役割は、クローズアップされることが少ないものであった。乳幼児にとって、母親の存在は非常に大きなもので、アタッチメント(愛着)形成という重要な役割があり、養育行動も母親が中心となっていた為である。しかし、最近の研究では、養育行動において父親独自の役割があるとされている。
<好奇心を満たす為の冒険的存在>
乳幼児期の父親の役割を一言でいうならば、それは「遊び」である。母親が生命を維持する安全基地であるならば、父親は好奇心を満たす冒険的存在であるのだ。乳幼児は、父親を楽しく遊んでくれ、新たな刺激をくれる人物として期待している。遊びを通してアタッチメントが形成されていくのである。当然、安全基地がないと冒険にも行かないので、母親とのアタッチメント形成を成功させていることが重要である。また、父親の遊びは子どもの成長と共に変化していく。はじめは「高い高い」などから始まり、子どもの発達に応じてボール投げやかけっこをするようになる。このような体を使った遊びから、子どもが成長するにつれて、新しいことを体験する遊びへと変化していくものなのである。子どもは次第に身の回りの社会や物事に興味・関心...