生活習慣病と未病について
1.はじめに
未病とは、2000年以上前の中国の医学書「黄帝内経」に初めて登場した「病気に向かう状態」を指す言葉であり、日本未病システム学会では『「自覚症状はないが検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」』と定義されるものである。医療の進歩により未病期間の短い感染症による死亡が大幅に減少し、それに代わってがん、心臓病、脳卒中(わが国の三大死因)といった未病期間の長い疾病による死亡が増加の一途をたどっている。
我が国の三大死因は、加齢に加えて悪い生活習慣が発症と進行に深く関与することが明らかとなり、国民に「未病のうちから生活習慣を改める」すなわち一次予防の重要性を訴えかけるために生活習慣病と呼称されるようになった。生活習慣病には、三大死因に加えて動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症などがこれに含まれる。
政府は、健康日本21やその根拠法令たる健康増進法などを打ち出して一次予防推進を訴えかけたが、個人の努力に頼った対策であったため思うような成果を得ることが出来なかった。そこで、2008年4月よりメタボリックシンドロームに着目し...