人が情報交換をする際の文は、話し言葉であれ、書き言葉であれ、「既知(旧情報)+未知(新情報)」という情報のまとまりで表される。このような一定の構造を、文の情報構造という。ここに例文を提示する。
(1)A: What did Tom do?
B: Tom (He) Kissed Rose.
(2)A: Who kissed Rose?
B: Tom kissed Rose (her).
(1A)は、「トムが何かをした」ということを前提とし、この前提のうち、何をしたかに関する情報を求めている。そのため(1B)の返答のうち、Tom(He)の部分は聞き手にとって既知の旧情報であり、kissed Roseの部分は聞き手にとって未知の新情報である。一方、(2A)は、「誰かがローズにキスした」ことを前提とし、この前提のうち、それが誰であるかに関する情報を求めている。よって、(1B)では、 Tom(He)(旧情報)kissed Rose.(新情報)(2B)では、Tom(新情報) kissed Rose(her).(旧情報)と分析できる。
談話においては、旧情報→新情報という配列になる傾向...