「個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べよ。」
1 はじめに
個別援助技術(ケースワーク)は、今日に至るまでさまざまに変遷し、発展してきた。
ここではまず、ケースワークの発展の歴史について述べ、諸理論の概要をまとめる。さ
らに、ケースワークの原則や構成についても述べる。
2 ケースワークの歴史的展開
① 慈善組織協会
ケースワークの起源は、1869 年、イギリスのロンドンで生まれた慈善組織協会(Charity
Organization Society ; COS)にある。資本主義の発展と都市化による貧困に苦しむ人々
に対して友愛訪問員を送り慈善事業が展開され、その際の訪問員に対する訓練を通じて次
第に専門的な技法として確立されていった。
COS は 1870 年代後半にはアメリカにも波及し、アメリカ COS 指導者であった M.リッチ
モンドなどによってケースワークの理論化、体系化がなされていった。
② リッチモンド
リッチモンドは、ケースワークが対象者に意識的な影響を与えるためには科学的なもの
でなければならないとした。1917 年には『社会診断』を出版し、ケースワーク...