黒船の来航を契機として日本は明治以降急速な近代化を成し遂げた。そうした急速な近代化であるがゆえに日本の近代化の特徴はしばしば、政府主導の「上から」の近代化という枠組みで捉えられている。たしかに、欧米の市民革命と違い市民主導の「下から」の近代化という意味での民主主義思想は明治維新には欠けていたといえる。しかしながら、明治10年(1877年)以降には士族の反乱が収まり、農地経営も安定化してくると徐々に民主主義思想を理論的支柱にした国会開設運動などが出てくる。つまり、明治時代においても民主主義を目指す思想や運動はたしかに存在していたのである。
それでは、明治におけるデモクラシーを体現した政治思想...