「道徳教育の歴史的変遷について述べよ。」
「道徳教育の歴史的変遷について述べよ。」
道徳を教育することの目的は、子どもに自主的な判断、すなわち自分を創造的、自発的に統制する行動の能力を育てることである。
しかし、第二次世界大戦の折、既成の固定化された徳目を子どもに植えつける徳目主義的教育を行い、権力に服従受動的、他律的な人間をつくりだしてしまった反省も含めて道徳教育の変遷について考えてみたい。
日本における道徳の始まりは、5世紀半ば
に中国から来た「儒教」であり、主に宗教というよりも人間関係、道徳、政治についての教えが主だったが、後に原質としての宗教意識を包摂、日本的心性に独特の集団同調主義を形成し、権力の頂点である天皇と、時の権力者を敬い、従う傾向が国民の間にあらわれるようになった。
その後、江戸幕府が崩壊し、明治維新の後、
日本は西洋の文化を積極的に取り入れ自国の近代化を推し進めた。そして明治5年「立身出世」を目標とする「学制」が発布されたが
西洋化を模倣することに急ぐあまりに道徳教育を軽視することになる。その後、自国学問見直しの気運も高まり、道徳教育問題の解決も本格化し、井上穀と元田永 によって、明治23年に教...