医療経済論

閲覧数2,235
ダウンロード数14
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     完全市場における価格メカニズムがうまく働く条件は四つある。第一に、買い手と売り手が多数存在すること。第二に、同じ種類の財・サービスの品質が同一であること。第三に、市場参加者が価格や品質に関する全ての情報を得ていること。すなわち完全情報(一物一価)であること。そして第四に、収穫逓増、外部性、公共財でないこと。例として、市場への参入や退出が自由にできることである。このような条件を満たし、かつ消費者も合理的な行動を取った場合、市場(価格メカニズム)はよりうまく機能するとされている。
     では医療サービス市場においても同じことが言えるかといえば、そうでもない。その理由として挙げられるのが、「情報の非対称性」である。本来需要者は、供給者と対等であり、市場の動向に対する予測をもって取引に望む。しかし、医療需要の場合、医療の特異性を反映し、このような市場一般において期待される条件を欠く公共財の一種である。需要者である患者は、時には(いや多くの場合かもしれない)、自分の需要する医療について、「見ざる、言わざる、聞かざる」の状態に置かれている。
     医療の需要者は、現に自身にとって医療を必要とするかどうかについて判断できないばかりでなく、需要に当っても医療の質や量をあらかじめ分別する経験または知識を、全くと言っていいほど持っていない。たとえ持っているにしても、適正な医療過程が行われているかどうかを知ることはできないのである。医療を消費した後でさえ、その質を判定することに無力だ。医療の質と量の決定は、このような知識の欠如あるいは消費者無知の故に、需要者が行うのではなく、医療の供給者、専門の知識、技能と資格を持つ医師に委ねられている。また、需要者は、医療の価格を知らない。知る前に需要行動を取っているのだ。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    医療経済論
    完全市場における価格メカニズムがうまく働く条件は四つある。第一に、買い手と売り手が多数存在すること。第二に、同じ種類の財・サービスの品質が同一であること。第三に、市場参加者が価格や品質に関する全ての情報を得ていること。すなわち完全情報(一物一価)であること。そして第四に、収穫逓増、外部性、公共財でないこと。例として、市場への参入や退出が自由にできることである。このような条件を満たし、かつ消費者も合理的な行動を取った場合、市場(価格メカニズム)はよりうまく機能するとされている。
    では医療サービス市場においても同じことが言えるかといえば、そうでもない。その理由として挙げられるのが、「情報の非対称性」である。本来需要者は、供給者と対等であり、市場の動向に対する予測をもって取引に望む。しかし、医療需要の場合、医療の特異性を反映し、このような市場一般において期待される条件を欠く公共財の一種である。需要者である患者は、時には(いや多くの場合かもしれない)、自分の需要する医療について、「見ざる、言わざる、聞かざる」の状態に置かれている。
    医療の需要者は、現に自身にとって医療を必要とするか...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。