この点だけを見ると、ダニエルとミランダが「男女平等の家庭の見本」であるかのような印象がつく。彼らが共働きで共に家事能力をもつ理想の夫婦となるであろうことは容易に想起される。しかし単純にそう考えるのは甘いというのが私の考えだ。むしろ見方によっては痛烈な批判とも取れる。この作品にはさらに隠されたメッセージがある。
『ミセス・ダウト』を見て
映画にはよっぽどの場合を除き、なんらかのメッセージが込められているというのが私の考えである。この『ミセス・ダウト』が私たちに伝えたかったメッセージとはなんなのか、それを考えてみた。このようなジェンダーに関する作品のメッセージ性を理解することは今後ジェンダーを学ぶ際の新たな視点となりうるからだ。
では分析に入ろう。本作の魅力はなんといっても子煩悩だが家事はまるっきりできないダニエルがダウトファイアに扮し、試行錯誤を繰り返しながらも家事に挑戦し成長していく様子がコミカルに描かれているところである。ここには『男にだって家事能力はある』というメッセージがこめられていると思う...