刑事訴訟法 問題・答案 令状提示の程度

閲覧数3,884
ダウンロード数4
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

    刑事訴訟法 問題・答案 令状提示の程度
    問 捜索差押許可状の提示に関し、以下の設問について述べよ。
    捜索差押許可状を被処分者に提示したところ、「筆写したい」と求められた場合
      要求に応じなければならないか。
    他の同居人から証拠隠滅等の妨害が予想されるので、居宅に踏み込んで
      から令状を提示することは可能か。
    答案
    1 令状の提示
      捜索差押許可状は、処分を受ける者にこれを示さなくてはならない。
      (刑事訴訟法222条1項・110条)
     
    2 令状提示の趣旨
      令状の提示を受けることで、処分を受ける者は、捜査手続が中立・公正な
     裁判官によって審査を経ているものであることを知ることができるほか、
     捜索・差押の範囲を知ることで範囲外に及んだ時に異議を述べたり、裁判所に
     準抗告(刑訴法430条)するなどの手段を講じることができる。
      そこで、処分を受ける者の保護の見地から、令状によって、捜索・差押を行う場合には、処分を受けるものに令状を提示しなければならないという手続が規定されている。
    3 令状提示の時期
    原則
    執行に着手する前に記載内容を相手方に知らせることが原則である。
    例外
    法は、不能を強いるものではないので、例外も認められる。
    例えば、令状を事前に提示したのでは、捜索・差押の目的を果たしえない
      という場合であれば、令状の提示が着手後であっても許される。
       例として、暴力団事務所において捜索・差押を行う場合、令状を提示していた
    ならば、その間に、内部の者によって証拠物の隠滅が行われるような場合が
    挙げられる。
    4 設問(1)の検討
      捜査手続の正当性や捜索等の範囲を相手方に知らせることを趣旨とするもので
    あるため、その趣旨を超えて、相手方による筆写の要求に応じる必要はない。
    5 設問(2)の検討
      事前に令状の提示を行ったのであれば、証拠隠滅等の妨害が予想されるという
     場合では、例外的に、居宅に踏み込んだ後で令状を提示することも許されるといえる。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。