「ハムレット」におけるホレーシオの存在
ホレーシオは「舞台上の観客」
「ハムレット」におけるホレーシオの役割は、物語内だけで見ればハムレットの忠臣あるいは友人以上のものではない。しかし、19世紀前半のイギリスの評論家、チャールズ・ラムによる『シェイクスピア物語』の「ハムレット」では、ホレーシオの役割が「この宿命の悲劇に対する観客」であったと述べられている。主人公ハムレットの心の内については様々な解釈がなされているが、作品「ハムレット」においてホレーシオは「舞台上の観客」として、観客と舞台上の主人公である彼の心をつなぐ役割を果たしていたのではないだろうか。
ホレーシオの行動
ホレーシオは、将校マーセラスとバーナードから亡霊の話を聞く。そして、直後に現れたそれを目撃する事によって、「無知」を「知」に変えていく。このようにして、開幕早々にホレーシオは「認識」の第一段階を確立し、それによって観客のさらなる「認識」の形成のための基礎固めをする。それ以降、彼はハムレットの生と死を目撃し続ける「舞台上の観客」に徹し、亡霊とハムレットが出会うときから、その最期に至るまで、主人公に関わる重要な局面には...