「平成建設」に見る、大不況をチャンスとする建設業界における経営戦略
建設会の異端児と呼ばれる人物がいる。それは、「平成建設」の代表取締役 秋元久雄氏、その人だ。
秋元氏の経歴といえば、自衛隊体育学校→ハウスメーカー→地場有力ゼネコン会社勤務(営業)と、
ユニークだ。そして、1989年、「平成建設」を設立。業務の全般を自社内で賄う「内製化」を実現し、
各界から多くの注目を浴びた。これは、設計から施行・保守までの一連の作業を自ら行うことを指し、
建設業界では前例がないものとされ、その型破りな経営方針で業界を沸かせた。
さらに、中堅企業であるにもかかわらず、「平成建設」は本社を静岡に構え、従業員数415名を誇り、
2008年には105億円を超える右肩上がりの増収を続けている。今後も業績を上げていく要因として、
世間で注目を浴びていることがある。それは、「大卒大工1000人の職人集団を目指す」というものだ。
この非常に大胆ともいえる経営戦略とは、建設業界に一体どのような影響を与えるのだろうか。
まず、注目したいのは、「大卒・大学院卒」限定の職人育成という着目点についてだ。
この100年に1...