脳梗塞の原因・誘因とメカニズム
機序 脳の血管が閉塞することによって酸素や栄養物の供給がとまり、灌流領域の脳組織が壊死に陥るもの。
脳血栓と脳塞栓の2つに大別される。
分類 脳血栓 脳塞栓
血管内に血栓が形成され、動脈が閉塞されることによって生じる。血栓は、動脈硬化などを基盤として血管内壁にコレステロールや血の塊がたまり(この堆積物を〔アテローム〕という)、その上に血小板・フィブリン・赤血球・白血球などの血液成分が沈着し、凝塊を形成してしだいに大きくなる。
高血圧・糖尿病・高脂血症を有する患者ではこのような変化が起こりやすい。 血のかたまりなどが血流に乗って流れていき、抹消の細くなった血管につまる(これを塞栓あるいは栓子という)結果、同様に血管の閉塞をもたらす。このような血の塊は、
1. 動脈硬化をおこした欠陥の壁の粥腫に付着して生じる。
2.不整脈の1つである心房細動をおこしている心房の中で生じることもある。
アテローム血栓性梗塞 ラクナ梗塞
事例1.〔脳梗塞のある60歳代の女性〕
*既往歴について
高血圧
血圧の調整機構 1.神経による調節
血圧が上昇すると、頸動脈洞と大動脈にある圧受容器が興奮し、迷走神経と舌咽神経を解して欠陥運動中枢と心臓抑制中枢に伝えられる。すると、交感神経の緊張が低下して血管が拡張すると同時に、迷走神経の緊張が亢進して心拍数が減少し、血圧が低下する。血圧の低下時には、逆の反応が起こる。 2.液性因子による調整
さまざまな物質が血圧の調節に関与する。腎臓の血流量が減少または、血圧が低下すると、レニンが分泌される。レニンは、アンギオテンシンⅡを活性化し、血管収縮を引き起こして血圧を上昇させる。アンギオテンシンⅡは副腎皮質にも作用してアルドステロンを分泌させ、Na+と水の再吸収を促進し、血圧を上昇する。 分 類 本態性高血圧
高血圧の大部分は本態性高血圧とよばれるものであり、原因はいまだに不明である。ただし、遺伝因子や生活習慣(喫煙、肥満、脂肪・塩分の過剰摂取、運動不足)などが血圧上昇を促進することがわかっている。 二次性高血圧
原因が判明している高血圧を二次性高血圧といい、全高血圧の...