刑法1(総論)第1課題
刑法における新旧学派の争いについて述べよ
まず、近代市民革命以前の絶対王政下の刑法は、干渉性・恣意性・身分制・過酷性という特色をもつ。刑罰が人々の内面生活まで干渉し、権力者による恣意的運用が行われ、身分による不平等な扱いがなされ、刑罰の大部分が死刑と身分刑だったからである。しかし、18世紀から19世紀初期にかけて近代市民革命が行われる中で、これを指導した啓蒙主義哲学者は、旧体制下(アンシャン・レジャーム)の刑罰制度を批判し、個人主義・自由主義に基づく刑法理論を主張した。旧体制下の刑罰制度を批判するベッカリーアがその先駆であり、個人主義の観点から法と論理の峻別・自由思想・応報刑を主張したカントが初期の代表例である。そして、犯罪を権利侵害ととらえ刑罰の干渉性を否定し(権利侵害性)、人は快を求めて不快を回避するから罪を犯すことにより得られる快よりも大きい不快である刑罰を科すことをあらかじめ明示しておけば犯罪は予防できるとし(心理強制説)、罪刑法定主義を主張した「近代刑法の父」とも言われている、フォイエルバッハによって、古典派刑法学が完成したと言われる。
古典学派の...