『「美しい」と「きれいだ」について意味の類似点と相違点を述べよ』
はじめに
このリポートでは〈美しい〉と〈きれいだ〉という二つの言葉の意味の類似点と相違点を整理することを目的とする。そのための手法として、辞書を用いて大まかな意味を調べ、用例をもとに二つの語が有する語義の要素を考察しつつ、それぞれを使い分ける上での要点を探ってみたい。
〈美しい〉と〈きれいだ〉の辞書的意味
まずは2つの語の意味を、辞書を参考にして調べてみよう。
『旺文社国語辞典』によれば、〈美しい〉と〈きれいだ〉には下記のような意味、用法がある。
〈美しい〉
➀形・色・声などが人に快い思いをさせるさま。「美しい花」
②精神的・倫理的に人の心を打つさま。「美しい話」
〈綺麗〉(形容動詞形「きれいだ」)
➀美しいさま。「きれいな花」
②清潔なさま。「食器をきれいに洗う」
③上手で立派なさま。整っているさま。「きれいな仕立て」
④いさぎよいようす。「きれいな負け方」
⑤あとに何も残さないさま。「過去のことをきれいに忘れる」
大まかに捉えると〈美しい〉も〈きれいだ〉も心地よい印象を抱かせ、前者には道徳的な良さ、後者には清潔、整然...