財政・金融政策の経済効果はマクロ経済学のIS・LMモデルにより説明できる。しかし、開放経済体系にいる現代社会においては、一国の利子率・国民所得だけで財政政策・経済政策の妥当性を判断できない。そこでBP曲線という考え方が必要になる。BP曲線とは、国際収支を均衡させる利子率と国民所得の組み合わせを示す線分である。この曲線は、国際的な資本移動が全くない場合は垂直になる。つまり利子率の大きさと関係なく国民所得が決まることを示す。逆に国際的な資本移動が完全に自由である場合は、水平になり、利子率により国民所得水準が決まることを示す。BP曲線上の利子率より高いと資本が流入し資本収支は黒字になり、その利子率より低いと資本が流出し資本収支は赤字になる。このBP曲線とIS・LM曲線を組み合わせ、政策効果について論じたのがマンデル=フレミングモデルである。以下ではこの考え方に基づき、開放経済体制における財政・金融政策の効果を論じるのだが、いくら以上の体制であっても資本移動が完全に自由でなければBP曲線は水平とはならず、ゆるやかな右肩上がりの曲線になる。だが、ここでは議論を単純化するため、開放経済体制=自由な...