三十年戦争の講和条約として、1648年10月ドイツのウェストファリア地方で結ばれたものがウエストファリア和約である。これは近代における最初の重要な国際条約として、17~18世紀の国際関係を基本的に規定したものであり、これにより世界で初めて国際社会が形成されたといわれる。現代と比較し、類似点と相違点がどこにあるのか見ていこう。
まず類似点だが、第一は国際社会の主要アクターが国家へと変貌したことである。この条約が成立したことによりハプスブルグ家による世界支配が終了し、新興独立国が承認された。それまではローマ教皇や神聖ローマ皇帝などの普遍的権威による支配が行われていたが、その国を代表する国王がその領土を統治し支配する形に変貌した。ジャン・ボーダンの唱えた主権国家の概念は実質的に、この体制から始まったと言ってよいであろう。当然ながら、現在も国際政治における主要アクターは国家である。
第二は国際法の原則が確立されたことである。各国の協議と合意に基づき政治が行われたことにより、国際法による世界共通のルール作りが現在も発展的に維持されている。。
第三は、勢力均衡の原則が誕生したことである。教会...