まず、メビウスの輪とはAugust Ferdinand Mobius が開発したとされる図形のことである。英名、Mobius strip、もしくはMobius band と読む。概略は簡単である。帯状のひもを端と端を連結して環を構成する際に、途中にひねりを一つ加えて連結したものである。特筆すべき特徴は、裏と表の判別がつかないことである。片面をたどっていけば、いつかはその面の裏にたどり着く。メビウスの輪においては表裏の定義が不可能であり、ゆえに哲学においても意味を持ちえるのだ。
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メビウスの輪について
メビウスの輪ほど、哲学的意味が垣間見ることができる立体図形は存在するだろうか。
メビウスの輪の存在は、小学校の算数だったか、中学の数学だったかの教科書のコラムに
触れられていた記憶がある。その他、メビウスの輪、もしくはメビウスの名を冠する商品
は紙上に溢れている。例えば、SHARPのノートパソコンであり、ミステリー小説では二度
ほどお目にかかった。名だけでなく図形としてならば、いくつかの芸術的モニュメント、『オ
イラーの贈り物』(吉田武著、筑摩書房)の表紙にiとπと e を繋ぐものとして描かれてい
たのは印象的であった。では、そのメビウスの輪という立体図形が含有する不思議さ、驚
異さ、はたまた滑稽さについて探っていくことにする。
まず、メビウスの輪とは August Ferdinand Möbius が開発したとされる図形のことであ
る。英名、Möbius strip、もしくは Möbius band と読む。概略は簡単である。帯状のひも
を端と端を連結して環を構成...