「環境権について論ぜよ。」
1960年のなかばになると、高度経済成長のツケとも言える深刻な公害問題が、全国でクローズアップされるようになった。
1960年代後半に、環境に関する市民の権利として「環境権」がアメリカミシガン大学のサックス教授によって提唱された。サックス教授は、環境権を「市民が快適な環境を享受できる権利として位置づけるだけでなく環境破壊のおそれがある場合には原因者に対して予防訴訟提起できる法的根拠としての位置づけを与えるべきだ」として環境権を提唱したとされている。ミシガン州環境政策法は、この考えに沿って定められたといわれている。
その後、健康で安全に生きることがわれわれ人間にとって基本的な権利であることがストックホルムでの国連環境会議での宣言として採択され全世界的にも承認されている。
日本においては、1970年に日本弁護士連合会第十三回人権擁護大会で大阪弁護士会が「環境権」を提唱した。ここで提唱された「環境権」は「何人も憲法第25条に基づいて良い環境を享受し、環境を汚すものを排除できる基本的な権利がある」とするものであった。
この大阪弁護士会の提唱する環境権は、当...