『EU統合はそこに暮らす人々、ひいては世界の人々の幸福にどのような貢献を果たすと考えられるか。またそれが持つジレンマとは何か。もっとも基本的な目的と具体的な発現状況を要約して述べよ。』
ヨーロッパ諸国を統合した目的は、文化的・経済的統一を図ろうとしたものである。歴史的経緯からすると、フランス革命の際の国民統合と似ているものがある。EUの統合は、国民を統合することによってヨーロッパ全体での均一化を図った。
しかし、それが持つジレンマとしては、過去の歴史の中でそれぞれの国が形成してきた文化・言語・習慣などを押し殺してしまわなければいけないことであった。そのため、各国が今まで築き上げてきたものを放棄し、その国の持つ独自性・アイデンティティがどんどん薄れてしまうという問題があった。
その独自性やアイデンティティを維持するために、西ヨーロッパの少数民族たちが反論し、統合賛成派と戦っていった。バスク地方やカタルーニャ地方がそれである。
また、少数民族の反論だけでなく、男女間のEU統合に対する差もあった。具体的にいえば、男性よりも女性の方がEUの統合に反対の声が多かった。これは、労働の際の男女の賃...