小説ノート2

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    パラドックス13 2010年1月15日 東野圭吾 何が起きたのか、これから何が起きるのか、全くわからない状態ですから、何かを断定するのはやめましょう。
    「おまえは、人々が消えたら、何もかもがリセットされるとでも思ってるのか」
    「違うのか?学校も会社も組織もないんだぜ。序列だけが残ってるなんてのは、おかしいだろ」
    「じゃあ尋ねるが、おまえには歴史がないのか。おまえという人間は、誰とも関わらず、誰の世話にもならず、今のお前があるのか。そうじゃないだろ。いろいろな人に支えられて、そだってきたんじゃないのか」
    「たしかにそうだよ。でも俺は、このおっさんには何の世話にもなってないぜ」
    「じゃあおまえは、何の行政サービスも受けなかったか。文明の利器を使わなかったか。文化や娯楽を味わわなかったか。おまえよりも先に生まれて社会に出た人間たちが、税金を払い、科学や文化の発展に貢献したから、おまえという人間がここにいるんだ。違うか。それとも、それらのものがすべて消滅したから、もう恩義も感じなくていいというわけか」
    誠哉の剣幕に、冬樹はたじろいだ。返す言葉が思いつかなかった。今いわれたような考え方をこれまで...

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