「権力」と「尊厳死」について考える[東京学芸大学・教育学部・日本社会学・評価A]

閲覧数2,429
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員1,100円 | 非会員1,320円

    資料紹介

    ギデンズによれば、「権力」とは「個人ないし集団の成員が、みずからの目的を達成したり、みずからいだく利害関心を促進することのできる能力」であり、「個人や集団がどれほどの権力を獲得できるかによって、他の人たちの願望を犠牲にしながらどれだけ多く自分たちの願望を実行できるかが決まるため、社会における葛藤の多くは権力闘争になる」という。一般的には、「権力」といった場合、国家権力を指すことが最も多いと思われる。
     ところで、近年、「尊厳死」という言葉がさかんに使われるようになっている。「尊厳死」とは「安楽死」と並び称されることが多いが、実際には少し異なる。「安楽死」は、患者を死に瀕した耐えがたい苦しみから解放するために、他者が人為的に患者の死期を早めることであるが、「尊厳死」は、助かる見込みのない患者に延命治療をすることをやめ、人間としての尊厳を保ちつつ死を迎えさせることを指す。すなわち、「尊厳死」の場合に大事なのは、「自己決定権」をもとにした患者の「死の権利」の尊重なのである。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    「権力」と「尊厳死」について考える
     ギデンズによれば、「権力」とは「個人ないし集団の成員が、みずからの目的を達成したり、みずからいだく利害関心を促進することのできる能力」であり、「個人や集団がどれほどの権力を獲得できるかによって、他の人たちの願望を犠牲にしながらどれだけ多く自分たちの願望を実行できるかが決まるため、社会における葛藤の多くは権力闘争になる」という。一般的には、「権力」といった場合、国家権力を指すことが最も多いと思われる。
     ところで、近年、「尊厳死」という言葉がさかんに使われるようになっている。「尊厳死」とは「安楽死」と並び称されることが多いが、実際には少し異なる。「安楽死」は、患者を死に瀕した耐えがたい苦しみから解放するために、他者が人為的に患者の死期を早めることであるが、「尊厳死」は、助かる見込みのない患者に延命治療をすることをやめ、人間としての尊厳を保ちつつ死を迎えさせることを指す。すなわち、「尊厳死」の場合に大事なのは、「自己決定権」をもとにした患者の「死の権利」の尊重なのである。
     しかしながら、その一方で「尊厳死」と「安楽死」の違いを見分けるのは難しい側面も...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。