A判定合格のリポートです。
『物権と債権の違いについて。』
「私人相互の間の関係を規律する」私法の基本法である民法は、物権と債権が、財産権を二分するものとしている。財産権の統一的な定義は法律上存在しないが、テキストでは便宜上、「物やサービス(これらをまとめて財貨ということがある)がもたらす経済的利益を内容とする権利である」と定義している。このような財産権を二分する物権と債権にはどのような違いがあるのだろうか。それぞれの特質を挙げながら考察していこうと思う。
文字通り、「物に対する権利」である物権は、「特定の物を直接に支配できる権利であり、物を意のままにどのようにでも支配できる所有権」をその典型としている。物権の主な特質として、有体物支配権、直接性、絶対性、排他性、物権法定主義などが挙げられる。
有体物支配権とは、物権の対象となるのが、有体物、すなわち、「一定の空間を占める物(~中略~液体や気体も含まれる)に限」られることを意味している。直接性とは、「権利の実現が自分だけでできる」ということであり、絶対性とは、その権利を、「だれに対しても主張でき」るといったものである。さらに、「一つの物の上に物権が成立すると、...