この短篇は、主人公である麻生謙二が中心となる「1」、「5」、「9」、「11」、謙二の家庭教師をしている三沢早智子を中心とした「2」、「6」、「8」、謙二の父、大学教授の肇を中心とした「3」、「10」、謙二の兄、大学生の舜一を中心とした「4」、「12」、そして謙二のいとこ、雪子を中心とした「7」の、計十二の節に分かれている。
この作品には登場人物が5人もおり、長篇でさえ登場人物の少ない傾向をもつ福永の作品としては、珍しいことなのかもしれない。しかも、それが中心人物の一人に、あとは二人ずつの二組という人物構成になっており、なにか長篇の作品のような雰囲気を出しているところが注目されるべき点であろうか。また、人物の年齢がはっきりしており、謙二は「十四歳」、肇は「五十に手の届く鰥」、「来年は大学を出る」舜一、「来年はもう三十になる」早智子、そして「大学三年生」の雪子となっている。
『廃市・飛ぶ男』より「退屈な少年」
この短篇は、主人公である麻生謙二が中心となる「1」、「5」、「9」、「11」、謙二の家庭教師をしている三沢早智子を中心とした「2」、「6」、「8」、謙二の父、大学教授の肇を中心とした「3」、「10」、謙二の兄、大学生の舜一を中心とした「4」、「12」、そして謙二のいとこ、雪子を中心とした「7」の、計十二の節に分かれている。
この作品には登場人物が5人もおり、長篇でさえ登場人物の少ない傾向をもつ福永の作品としては、珍しいことなのかもしれない。しかも、それが中心人物の一人に、あとは二人ずつの二組という人物構成になっており、なにか長篇の作品のような雰囲気を出しているところが注目されるべき点であろうか。また、人物の年齢がはっきりしており、謙二は「十四歳」、肇は「五十に手の届く鰥」、「来年は大学を出る」舜一、「来年はもう三十になる」早智子、そして「大学三年生」の雪子となっている。これも、福永の年齢へのこだわりがあるように感じられるという点で、注目しておきたい。
主人公謙二は、いわゆる「お坊ちゃん」タイプである。友達がおらず、一人遊びをしているが、友達がいない...