設問1 交通事故により意識不明のままA病院に搬送されたBは、当直医Cの医療過誤によって後遺症に苦しんでいるため、不法行為を理由として損害賠償を請求した。これに対し、AはCの過失によりBの主張どおりの障害が発生していることについて争わなかったが、過誤のときから3年が経過しているから損害賠償請求権は時効消滅したと主張し、事実関係もそのとおりのようである。Bはどのように反論を行うべきか。
設問2 甲は、運送業者乙に引越しを依頼し、乙のトラックに同乗して引越し先に赴き、乙と共に荷降ろし作業をしていたところ、乙が誤って積み荷を甲の頭上に落下させ、甲の積み荷に損傷を与えたばかりでなく、甲に頭蓋骨骨折の傷害を与えた。甲が傷害についても損害賠償を請求したところ、乙は、甲乙間の契約書には、積み荷についてのみ一定の額を限度として賠償するという条項しか存しないので、傷害については責任を負わないと主張している。どのように考えるべきか。
設問3 医師Xの医療過誤により傷害を受けたYは、「不法行為又は債務不履行により」傷害を受けたと主張してXに賠償を請求し、勝訴の確定判決を受けた。Yが強制執行に着手したところ、Xは、「Yには未払いの診療費の債務があることがわかった、上記判決は債務不履行を理由として賠償を認めたものだから相殺する、そうならば賠償請求権は消滅している筈だ」と述べて、請求異議の訴えを(民事執行法35条)を提起した。賠償額だけが争点であったためか、上記判決の理由には、不法行為を根拠としたものか、それとも債務不履行を根拠としたものかについて、やや明確でない点があるのは事実である。どのように考えるべきか(訴訟物に関する問題であることに注意)。
民事法総合演習(民事責任法)
問題 請求権競合に関する次の設問に答えよ。
設問1 交通事故により意識不明のままA病院に搬送されたBは、当直医Cの医療過誤によって後遺症に苦しんでいるため、不法行為を理由として損害賠償を請求した。これに対し、AはCの過失によりBの主張どおりの障害が発生していることについて争わなかったが、過誤のときから3年が経過しているから損害賠償請求権は時効消滅したと主張し、事実関係もそのとおりのようである。Bはどのように反論を行うべきか。
設問2 甲は、運送業者乙に引越しを依頼し、乙のトラックに同乗して引越し先に赴き、乙と共に荷降ろし作業をしていたところ、乙が誤って積み荷を甲の頭上に落下させ、甲の積み荷に損傷を与えたばかりでなく、甲に頭蓋骨骨折の傷害を与えた。甲が傷害についても損害賠償を請求したところ、乙は、甲乙間の契約書には、積み荷についてのみ一定の額を限度として賠償するという条項しか存しないので、傷害については責任を負わないと主張している。どのように考えるべきか。
設問3 医師Xの医療過誤により傷害を受けたYは、「不法行為又は債務不履行により」傷害を受けたと主張して...