『肢体不自由がある子どもの特別支援教育の現状について述べよ。』
肢体不自由児の実態は、運動障害の程度だけをみても比較的軽度の障害からきわめて重度の障害までさまざまで、それに脳性まひ児のように他の随伴障害などの臨床像をもつものを加えるとじつに多様である。とりわけ、養護学校に在籍する肢体不自由児の場合は、その障害が重度・重複化しており、ひとりひとりのニーズに即した教育の個別化が不可欠である。肢体不自由児の教育課程は一般に、①知的障害のない肢体不自由児に対する通常学級の教育課程に準ずる「A類型」、②学年相応の学習が困難な肢体不自由児に下学年の教育課程を適用する「B類型」、③知的障害を併せもつ肢体不自由児に対して知的障害養護学校の教育課程を代替する「C類型」、④重度の知的障害を併せもつ肢体不自由児に自立活動の指導を主体とする「D類型」の4つに類型化される。
知的障害のない肢体不自由児には、原則として通常学級と同一の教育目標と内容に準じた教育が行われる。ただし、障害の状態によって、たとえば、上肢の障害のため書写ができないなど、一部の教科の目標や内容の指導が困難であるとか、学習の遅れのため下学年...