中華主義とはなにか
2009年7月、劉振民中国国連大使は、国連大会で、自国民を保護する能力のない、もしくは保護する意志のない国家に対し、国際社会全体が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を負うという新しい概念について発言した際、「『保護する責任』は主権の原則や内政不干渉の原則に違反してはならない」と述べた。
国際社会の場において、中国が「内政不干渉」「主権」という言葉を頻繁に用いるのは、周知の事実である。これを私は、中国が自国の政策について諸外国から「口を出されたくない」ということの意思表示であり、自国を「大国」として認識していることの表れであると解釈してきた。つまりこのような中国の発言を、中国を世界の中心をし、中華以外の民族をより野蛮なものとして位置づけた中国の伝統的な「中華思想」の表れであると思ったのである。中国からすれば、野蛮だと馬鹿にする民族から指図を受けることは、さぞかし辛いのだろうと。
また、多くの国際問題においても、本講義を受講している間も思っていたことだが、中国の主張というのは、極めて分かりやすく端的にいうなれば「他国を批判し自国の利益を最大化す...