『学歴社会とは何かを明らかにし、高学歴化が
進行すると教育はどのように変化するのかについて
学力の視点から述べてください。』
1.はじめに
「受験地獄」や「偏差値輪切り体制」などという言葉とともに用いられ、これまで日本では学歴社会はあまりいいイメージをもって語られることはなかった。それは人間が内面的にもつ「本来の資質」を考慮せずに、うわべの「勉強ができるかどうか」だけでその人間を評価する理不尽かつ非人間的な社会として語られることが多かったのである。
現在では学歴社会の崩壊が盛んに叫ばれ、現実に一流大学を卒業し、一流企業に就職した人間がリストラや倒産で職を失う事態も頻繁に生じている。
それでは、このようにさかんに議論の対象となる学歴社会とはどのようなものなのか。以下に概観したい。
2.学歴社会とは何か
学歴社会とは、学歴によって、職業選択、給与体系、出世速度などが左右される社会のことである。学歴社会とよく混同される言葉に高学歴社会があるが、高学歴社会とは「高学歴者の多い社会」を意味する言葉であり、具体的には高校卒業後の高等教育機関への進学率が50%を越える社会であるとされる。
一方の学歴...