安楽死について
日本では「安楽死」は法律上認められていないが、オランダでは国家としては初めて「安楽死」を合法化した。年間の死者の3%が「安楽死」で亡くなっている。またアメリカではオレゴン州で1997年に「安楽死」を認めている。安楽死が良いか悪いか、国家レベルでの判断が必要となっている。安楽死について良いか悪いかを述べる前に、善悪について述べておくべきであろう。
1 安楽死とは
(1)善と悪
善と悪とは良い行為と悪い行為の事であるが、それは人により考え方が違うため、善悪の判断には個人により多少の誤差がある。代表的な考え方にベンサムやミルの功利主義とカントの倫理主義(厳格主義)がある。
まず功利主義とは、行為のもたらす結果によりその行為の善悪を判断する考え方である。功利主義は何をなすべきかを問う倫理学の根底に、人間のこの自然の本性を据えるのである。功利主義の立場では、その行為が快をもたらすならばそれは良い行為であり、逆に苦をもたらすならばそれは悪い行為となる。この考え方では自分自身の快さえ増せば良い行為となるのである。
それに対し、行動の動機によって善悪を判断するのが倫理主義(厳格主義)である。邪な動機からではなく、人間としてすべきことだという義務からなされた時にだけ、それは良い行為となる。厳格主義をとなえるカントは人間を超えたところに絶対的な善悪が存在するとし、人間の内にある良心が、善を行い悪を避けるように人間に命じてくるとしている。しかしこの良心が
安楽死について
日本では「安楽死」は法律上認められていないが、オランダでは国家としては初めて「安楽死」を合法化した。年間の死者の3%が「安楽死」で亡くなっている。またアメリカではオレゴン州で1997年に「安楽死」を認めている。安楽死が良いか悪いか、国家レベルでの判断が必要となっている。安楽死について良いか悪いかを述べる前に、善悪について述べておくべきであろう。
1 安楽死とは
(1)善と悪
善と悪とは良い行為と悪い行為の事であるが、それは人により考え方が違うため、善悪の判断には個人により多少の誤差がある。代表的な考え方にベンサムやミルの功利主義とカントの倫理主義(厳格主義)がある。
まず功利主義とは、行為のもたらす結果によりその行為の善悪を判断する考え方である。功利主義は何をなすべきかを問う倫理学の根底に、人間のこの自然の本性を据えるのである。功利主義の立場では、その行為が快をもたらすならばそれは良い行為であり、逆に苦をもたらすならばそれは悪い行為となる。この考え方では自分自身の快さえ増せば良い行為となるのである。
それに対し、行動の動機によって善悪を判断するのが倫理主義(厳格主義...