日経サイエンス 2009年 8月号 pp44-pp51の要約です。
DNAから見えた「人間の証」
ヒトとチンパンジー(Pan troglodytes)のDNA配列の解析をすると、ヒトのDNAのほぼ99%はチンパンジーと全く同じだった。つまりヒトとチンパンジーが共通祖先から分かれた後の約600万年の間に変化したのは、わずか1500万文字だけで、全ヒトゲノム30億文字の1%にも満たない。しかしこの1500万塩基のどこかにヒトをヒトたらしめる差が存在するのだ。
ヒトとチンパンジーはほぼ同じゲノムを持つにもかかわらず、なぜこうも違うのか。重要なのは「数」ではなく「位置」である。つまり新たな種が創られるために大きな変化は必要なく、チンパンジーとの共通祖先からヒトが進化し...