JALの事例から学ぶ企業年金と退職給付引当金の諸問題

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    資料紹介

    平成22年に日本航空が事実上倒産した。これは単に経営不振ではなく、年金制度上の問題があったことも見逃せない。本稿では、この倒産事件について、最新の会計制度の状況を踏まえ検討していく。

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    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    0.はじめに

    本稿では最近経済誌で話題になっている退職給付会計について取り上げる。退職給付会計は、IFRSの強制適用で純利益に最も影響を与える項目と言われており、負債会計の中で現在最も重要な論点である。

     本稿の第1章ではまず、日本の年金制度の仕組みについて簡潔に解説を行う。会計論の論点ではないが、次項の流れも踏まえ企業年金制度の実態について調査していく。第2章では日本航空(以下、JAL)の企業年金の減額問題について取り上げる。財産権の侵害と言われた企業年金の減額がなぜ行われたのかについて、企業年金積立不足の問題を絡めて検証していく。第3章ではIFRSの強制適用を前に日本企業が抱える諸問題について、フランスの事例を踏まえながら今後の課題として提唱する。
    1.日本の年金制度

     日本の年金制度は1961年4月から国民年金法の適用が開始されたことに始まり、1985年の年金制度改正により基礎年金制度が導入され、現在の年金制度の骨格になっている。

    日本の年金制度は3階建てとなっている。原則として、20歳以上60歳未満の日本に居住するすべての国民は、国民年金(給付または受給段階では老齢基礎...

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