●中世から近代へ
ヨーロッパでは、ルネッサンスと宗教改革という、一方で相反し一方で共通点を持つ二つの運動によって近代が準備される。文字通り「再生、復活」を意味するルネサンス。ピコ=デラ=ミランドラの「人間に自由な意思があることこそ、人間の尊厳の根拠である」に代表される、ルネサンス期の人文主義(ヒューマニズム)は、中世における人間は神の前では無力な存在であるとした考え方を捨て、無限の可能性を信じる能動的な人間観を打ち立てた。ルネサンスの特徴は、ありのままの人間を出したこと、人間性の肯定ということだ。ルネサンス期の重要な思想家としては、ピコ=デラ=ミランドラの他に、マキャヴェリ、エラスムスがあげられる。ピコは『人間の尊厳について』の中で人間の自由なる意志をもって神の被造物でありながら他の動物とは違う点であることを指摘し、まさに人間の尊厳がその自由意志にあるとしており、マキャヴェリは『君主論』を著し、政治を宗教や道徳の束縛から分離することを主張した。ルネッサンス期最大の人文主義者といわれるエラスムスはその著書『痴愚神礼讃』などでカトリック教会のあり方を内部から徹底的に批判した。エラスムスが生んだ「卵」をルターが「孵化」(宗教改革)した、と言われるほど、その批判はルターと共通するところがある。ルターが神の絶対性を強調して人間の意志を否定したのに対してエラスムスはあくまでも人間の自由意志を認めていることに大きな違いがあるが、エラスムスはカトリック教会を批判するが宗教改革には参加せず、ルターと対立することになった。ルターやカルヴァンの説いた神の絶対性の強調は復古的運動であり、人間の自由意志の否定という点では、近代的な人間観と相容れないもののように思われるが、宗教改革は近代社会形成に大きな影響を与えたと言える。
西洋近代思想の特徴
●中世から近代へ
ヨーロッパでは、ルネッサンスと宗教改革という、一方で相反し一方で共通点を持つ二つの運動によって近代が準備される。文字通り「再生、復活」を意味するルネサンス。ピコ=デラ=ミランドラの「人間に自由な意思があることこそ、人間の尊厳の根拠である」に代表される、ルネサンス期の人文主義(ヒューマニズム)は、中世における人間は神の前では無力な存在であるとした考え方を捨て、無限の可能性を信じる能動的な人間観を打ち立てた。ルネサンスの特徴は、ありのままの人間を出したこと、人間性の肯定ということだ。ルネサンス期の重要な思想家としては、ピコ=デラ=ミランドラの他に、マキャヴェリ、エラスムスがあげられる。ピコは『人間の尊厳について』の中で人間の自由なる意志をもって神の被造物でありながら他の動物とは違う点であることを指摘し、まさに人間の尊厳がその自由意志にあるとしており、マキャヴェリは『君主論』を著し、政治を宗教や道徳の束縛から分離することを主張した。ルネッサンス期最大の人文主義者といわれるエラスムスはその著書『痴愚神礼讃』などでカトリック教会のあり方を内部から徹底的に批判...