期限の利益喪失特約と貸金業法43条の支払いの「任意性」
最高裁判所平成18年1月13日第二小法廷判決
(民集60巻1号1頁)
目次
《事案の概要》
《判旨》
《研究》
一 はじめに
二 本判決に至る経緯
三 本判決における支払いの「任意性」の要件
四 本判決の射程と今後の展開
《事実の概要》
貸金業法所定の登録を受けた貸金業者被上告人Xは平成12年7月6日,上告人Y1に対し,300万円を貸し付け,上告人Y2は,同日,被上告人に対し,上告人Y1の本件貸付けに係る債務について連帯保証をした。Xは,本件貸付けに係る契約を締結した際に,上告人Y1に対し,「貸付及び保証契約説明書」及び「償還表」と題する書面を交付した。 貸付及び保証契約説明書には,利息の利率を利息制限法1条1項所定の制限利率を超える年29%とする約定が記載された後に,本件期限の利益喪失特約につき,「元金又は利息の支払いを遅滞したときは催告の手続きを要せずして期限の利益を失い直ちに元利金を一時に支払います。」と記載され,期限後に支払うべき遅延損害金の利率を同法4条1項所定の制限利率を超える年29.2%とする約定が記載されていた。...