【真のリアリティとは】
1つの林檎。そのモチーフで3人が絵を描いた場合、3通りの絵が出来上がるだろう。例えば、ある人は緑の林檎を描き、ある人は焦点の定まらぬボンヤリとした林檎を描き、またある人は林檎が影も形も見えない絵を描いた。同じ印象の絵は一つとして無いが、彼等は『彼等のリアリティ』に基づいて描いているのである。1人目は色覚障害であり、2人目は近視でメガネを外した状態、3人目は「部屋の中の存在を描いた」と言った。
詩人のジュール・ラフォルグは1883年の評論でこのように言っている。
「・・・すなわち、すべてを色彩のふるえの中で捉える。線も、光も、凹凸も、遠近法も、明暗もない、そのような子供っぽい分類は何もない。これらすべては、現実の世界では色彩のふるえに変えられてしまっており、したがって、カンヴァスの上でも、ただ色彩のふるえによってのみ表現されるべきものである・・・」
つまり、太陽光がこの世界に降り注ぎ、それが物体に当たった反射光・もしくはその反射光が更に物体に当たり反射された光が私達の目に光線としてその色の波長となって、そのふるえが眼球のレンズを通過し、奥の網膜に当たり、網膜を...