児童福祉施設では、様々な理由により家族とともに生活することが難しい児童が、「家庭にかわる生活の場」 として生活している。これらの児童の健全な成長発達のため、施設は児童にとって最適な援助を行う必要がある。ここでは施設養護の基本原理を、人権の尊重と情緒安定、ニーズの個別化、集団の活用、親子関係尊重と調整、社会参加と社会自立という視点でまとめ、これらを用いて施設で生活する児童に必要な援助を述べる。
人権の尊重と情緒安定
日本国民は、日本国憲法によって基本的な人権の尊重が保障されている。つまり、児童を含めたすべての国民は 、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことである。さらに児童憲章でも、児童は社会の一員として大切にされ、よい環境の中で愛情をもって育てられるものと示されている。しかし、経済的な事情や親の虐待や育児放棄などにより、食べるものや清潔な衣服が充分に得られない、または児童のもつ障害のため家庭生活や社会生活から拒否されるなど、施設入所前の生活が子どもの人権が侵害されていた場合、児童は心に傷を負い、人間性を失って施設に入所してくることもある。
そのため、まず基本的な...