イギリスの哲学者ホワイト・ヘッド(1861-1947)の「あまりに多くのことを教えるなかれ。しかし、教えるべきことは徹底的に教えるべし」という言葉が引用されたのは、1996年の中央教育審議会答申であった。これは「基礎・基本の徹底」の重要性を示している。同時に、このスローガンは学習指導上の原則を示すものであり、「教育内容の厳選」の基本理念を示唆しているものと言える。これを受け、中学校・高等学校英語科においても「教育内容の厳選」「基礎・基本の徹底」が施行された。
時を遡れば、日本の外国語教育は明治以来の文法訳読主義、つまりは読む力や書く力が強調される指導法からの脱却が必要であると長いこと叫ばれてきた。それから年月が流れ、2007年の中央教育審議会では、中学や高校の英語で「オーラルコミュニケーション」と呼ばれる聞く力や話す力を重視する方針が示された。そこには高等学校の「英語Ⅰ」で、文法・訳読が中心となっており、「オーラルコミュニケーションⅠ」で「聞くこと」「話すこと」を中心とした指導が十分になされていない実態があるなど、「4技能」の指導において偏りがあるという課題の改善が内包されていた。
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