英語科教育法Ⅰ
近年、情報化が進展し、価値観が多様化した国際社会において要求されるのは、情報処理能力やコミュニケーション力であることに異論を唱える者はいないだろう。一方、少子化やテレビゲームの普及などによって人間関係が希薄化し、児童生徒の社会性の未発達があらゆる方面で叫ばれている。このようなコミュニケーション不全を解消するために、友だちや大人と相互交流し、理解し合ったり共感し合ったりできる相互理解の真のコミュニケーション能力を育成する必要がある。そのため、生徒と接する機会の多い教科の中に、他とのかかわりに喜びを感じられるようなコミュニケーション活動を意図的に行う必要があるのではないかと思われる。特に英語の授業においては、ペアやグループでの様々な活動が多く、その必要性が高いと考えられる。
時を遡れば、日本の外国語教育は明治以来の文法訳読主義、つまりは読む力や書く力を強調する指導法からの脱却が必要であると長いこと叫ばれてきた。それから年月が流れ、2007年の中央教育審議会では、中学や高校の英語で「オーラルコミュニケーション」と呼ばれる聞く力や話す力を重視する方針が示された。そこでは、高等学...