「王維の作品を読んで疑問点を1つ取りあげ、それに対する自分の考えを述べよ。」
私は王維の[送別]にある、「下馬飲君酒」の「君」とは誰であるのかということについて疑問を抱き、またそこには王維のどんなメッセージが隠されているのか、確かめてみたいと考えた。
王維の[送別]以外の、人を送る内容の詩においては、その対象はある特定の人物であり、明確である。しかし[送別]における「君」は、明確な対象が無いのである。それでは王維は[送別]において、一体誰(何)を送り、そこにはどういった心情・メッセージがあったのかを考察していく。
まず[送別]以外の、人を送る詩について触れていくことにする。[送李睢陽]では、長安を出て地方に赴任して行く李カン(山偏に亘)に対して、期待と戒めのメッセージを送っている。「聖代無隠者」ではじまる[送別]では、王維の推挙した人物が科挙に失敗して帰郷するのを送っている。また一説には臨時の試験のために集めた有志がすべて落第した際の作と言われ、その中には杜甫も含まれていたと言う。ここでは友の役に立たなかった悔恨を詠っている。
[送元二使安西]では、砂漠の果てにある安西へ、使者として...